特色

山口県周南市は、県の東部に位置する人口約13万人の中核市で、県内有数の工業都市として発展してきました。2003年に旧徳山市、新南陽市、熊毛町、鹿野町が合併して誕生し、現在は山口県で3番目に人口が多い都市です。瀬戸内海に面し、温暖で穏やかな気候に恵まれており、海・山・街がコンパクトに融合した住みやすいエリアとしても知られています。 周南市の最大の特色は、日本屈指のコンビナート群を擁する工業都市である点です。市の臨海部には化学・エネルギー・鉄鋼・機械など多様な工場が集積し、周南コンビナートとして知られています。JXTGエネルギー（ENEOS）やトクヤマ、日本ゼオンなど、大手企業の製造拠点が集まり、西日本の工業・物流の中核を担っています。特に石油化学製品やセメント、合成樹脂などの製造は国内でも高いシェアを誇り、周南市の経済を力強く支えています。 一方で、中心市街地の徳山駅周辺には再開発が進み、徳山駅ビルや徳山港周辺のウォーターフロント開発などにより、都市機能と利便性が向上しています。商業施設やホテル、オフィスビルが集まり、ビジネス客や観光客の受け入れ体制も整っています。 自然環境にも恵まれており、北部の鹿野エリアでは豊かな山林が広がり、登山やキャンプ、川遊びなどアウトドアレジャーが楽しめます。また、中心市街地の西側に位置する徳山動物園や、周南緑地公園などは市民の憩いの場として親しまれています。 農業・漁業も市の重要な産業で、熊毛や鹿野地域では米や野菜の栽培が盛んです。瀬戸内海に面した漁港からは新鮮な魚介類が水揚げされ、地産地消の食文化も根付いています。 工業都市としてのパワフルな一面と、豊かな自然、暮らしやすい都市機能が共存する周南市は、山口県内外から多くの人々を惹きつける魅力的なエリアです。

交通情報

周南市は、山口県東部の交通拠点として発展しており、鉄道・道路・港湾・空港へのアクセスが非常に優れています。鉄道はJR山陽新幹線・山陽本線・岩徳線・山口線が市内を通り、主要駅は徳山駅です。徳山駅は山陽新幹線の停車駅で、広島駅まで約30分、博多駅まで約50分、大阪・神戸方面へも直通で移動できます。在来線を利用すれば、下松市や防府市、山口市、岩国市など山口県内各都市へのアクセスが簡単です。 市内移動には、防長交通や周南市営バスが整備され、住宅地や工業地帯、観光地への移動に便利です。特に工業地帯への通勤バスや、郊外の鹿野・熊毛方面への路線バスも充実しており、車がない人でも生活しやすい交通網が整っています。 道路交通では、国道2号線が市街地を東西に貫通し、広島市・下松市・光市方面へのアクセスがスムーズです。また、山陽自動車道の徳山東IC・徳山西ICがあり、福岡・広島・大阪方面へ高速道路での移動も快適です。市北部には国道315号線や国道376号線が走り、山間部や萩市方面へのドライブにも適しています。 港湾交通としては、**徳山下松港（徳山港地区）**があり、コンビナート群の物流拠点として重要な役割を果たしています。また、瀬戸内海の島々とのフェリー航路も運航されており、貨物輸送だけでなく観光や離島生活の足としても利用されています。 空路は、車で約1時間圏内に岩国錦帯橋空港と山口宇部空港があり、どちらからも東京（羽田）便が利用可能です。さらに、広島空港も1時間半程度でアクセスできるため、国内主要都市や海外への移動にも便利です。 このように周南市は、新幹線・在来線・高速道路・港湾・空港が連携した交通網を持ち、工業都市としての物流拠点、観光地へのアクセス拠点、生活都市としての利便性を兼ね備えています。

観光情報

周南市は、工業都市のイメージだけでなく、豊かな自然・歴史・文化を感じられる観光地が点在しています。市街地の中心にある徳山動物園は、地元の家族連れに人気のスポットで、ライオンやキリン、ペンギンなど約100種類の動物が飼育されています。隣接する周南緑地公園は広々とした敷地にスポーツ施設や遊歩道が整備され、四季折々の自然が楽しめます。 周南市の観光といえば、山間部にある鹿野地区もおすすめです。鹿野は豊かな自然と歴史ある町並みが残るエリアで、古民家を活用したカフェや宿泊施設が人気です。秋には紅葉が美しく、鹿野総合運動公園や登山道では自然散策が楽しめます。 また、清流・錦川や佐波川では川遊びや鮎釣り、キャンプが楽しめるスポットがあり、アウトドアレジャーが盛んです。市北部には温泉地もあり、日帰り入浴や宿泊を楽しむこともできます。 工場夜景の観光も周南市ならではの魅力です。臨海部のコンビナート群がライトアップされる夜景は圧巻で、工場夜景ツアーや撮影スポットが注目されています。全国的にも有名な工場夜景の名所として、夜の観光需要が増えています。 グルメでは、周南市発祥の徳山バリそばが有名です。パリッと揚げた麺にたっぷりの野菜あんかけをかけたご当地グルメで、地元の人気店ではランチタイムに行列ができます。また、周南市沿岸で獲れる新鮮な魚介類や、鹿野高原ポークなど地域ブランドの食材を使った料理も人気です。 イベントも多彩で、春には「周南市桜まつり」、夏には「徳山夏まつり・花火大会」、秋には「周南市産業フェア」、冬には「周南冬のツリーまつり（周南イルミネーション）」が開催されます。特に冬のイルミネーションは山口県内最大級の規模で、JR徳山駅周辺が幻想的な光の街に変わります。 工業・自然・歴史・文化が融合する周南市は、日中の観光はもちろん、夜景やイベントも楽しめる多彩な魅力を持つ都市です。

歴史や変貌

周南市の歴史は古く、古代には瀬戸内海沿岸の交通と交易の拠点として栄えました。佐波川流域は肥沃な土地として農業が盛んで、周防国の重要な地域のひとつでした。中世から近世にかけては港町として発展し、徳山地区は商業と漁業の拠点となりました。 江戸時代には毛利氏の支藩が治める徳山藩が成立し、徳山城を中心とした城下町が形成されました。徳山藩は瀬戸内海航路の要衝として栄え、塩田や紙、和菓子などの特産品が生産され、商業も活発でした。この時代に整備された寺社や町並みは、現在も市内各地に歴史的な痕跡として残っています。 明治時代に入ると、製塩業が発展し、さらに昭和初期には臨海部に工場が集まり、工業都市としての基盤が築かれました。戦後は化学工業や石油精製業が発展し、現在の周南コンビナートが形成されました。これにより、徳山市（旧市）は山口県有数の工業都市となり、経済の中心的役割を果たすようになりました。 2003年に徳山市・新南陽市・熊毛町・鹿野町が合併し、新しい周南市が誕生しました。これにより、沿岸部の工業地帯から山間部の自然豊かな地域まで多様な顔を持つ都市となりました。合併後は、中心市街地の再開発や工業・観光・農業のバランスを取ったまちづくりが進められています。 現在の周南市は、工業都市・物流拠点・観光都市・自然豊かな田園地域が共存する複合都市として発展を続けています。工場夜景やコンビナートツーリズムなど工業遺産を活かした観光振興が進む一方で、鹿野地区など山間地域の自然・文化を活かした地域活性化も注目されています。今後も産業と文化、自然が調和するまちとしての成長が期待されています。