特色

佐世保市は、長崎県北部に位置する港湾都市であり、自然・観光・国際文化が融合したまちです。人口は約23万人で、長崎県内では長崎市に次ぐ規模を誇ります。西海国立公園の玄関口として知られ、大小208もの島々から成る「九十九島（くじゅうくしま）」を中心に、美しい海と山に囲まれた自然豊かな環境が広がっています。一方で、市街地には商業施設や文化施設が集まり、観光と生活がバランスよく調和した都市として発展しています。 佐世保市の最大の特徴は、国際色豊かな港町の文化です。明治時代に旧日本海軍の軍港として整備され、戦後は「米海軍佐世保基地」が設置されました。現在もアメリカ文化が日常生活の中に息づき、英語の看板やアメリカンスタイルの飲食店、外国人居住者の多い街並みが見られます。この異国情緒が佐世保独自の雰囲気を生み出し、訪れる人に独特の魅力を与えています。 観光面では、長崎を代表するリゾート施設「ハウステンボス」が全国的に有名です。オランダの街並みを再現したテーマパークで、四季折々の花々、夜のイルミネーション、アトラクション、ホテル、温泉などが充実しており、国内外から年間数百万人が訪れます。特に夜の光の王国イベントは人気が高く、佐世保観光の中核を担っています。 また、佐世保港から望む「九十九島」は、日本屈指のリアス式海岸の絶景エリアです。島々が織りなす風景は「西海の宝石」と称され、「展海峰（てんかいほう）」や「石岳展望台」などからの眺望は圧巻。遊覧船「パールクイーン」や「みらい」でのクルーズ体験も人気です。映画『ラストサムライ』のロケ地にもなった九十九島は、自然観光の象徴として多くの旅行者を惹きつけています。 市街地には「佐世保四ヶ町商店街」をはじめとするショッピングエリアが広がり、地元グルメやファッション、カフェが集まっています。特にご当地グルメ「佐世保バーガー」は、米軍文化の影響を受けて誕生した名物で、注文後に手作りされるボリューム満点のハンバーガーとして全国的に知られています。また、「レモンステーキ」や「九十九島かき」など地元食材を活かした料理も人気です。 教育・文化の面では、「海上自衛隊佐世保史料館（セイルタワー）」や「アルカスSASEBO」など、地域の歴史と文化を学び体験できる施設が整っています。特にセイルタワーでは、旧日本海軍から現代の海上自衛隊に至るまでの貴重な資料が展示され、港町としての歩みを知ることができます。 経済面では、造船・観光・サービス業が主要産業。古くから「佐世保重工業」を中心に造船技術が発達し、現在も多くの企業が港湾関連産業に従事しています。また、観光地ハウステンボス周辺ではホテル業や商業施設の開発が進み、雇用と地域経済を支えています。 交通の利便性も高く、「JR佐世保駅」を中心に鉄道やバスが整備され、長崎市・福岡市・佐賀市方面へのアクセスが容易です。近年は「西九州新幹線（長崎新幹線）」の開業により、博多方面への移動時間が短縮され、観光とビジネスの往来が活発化しています。 このように佐世保市は、港町の国際文化と豊かな自然、観光リゾートの魅力が融合した都市です。異国の風情を感じる街並みと、九十九島やハウステンボスに代表される自然・エンターテインメントが共存し、訪れる人々に多彩な体験と感動を与えるまちとして発展を続けています。

交通情報

佐世保市は、鉄道・高速道路・港湾が集結する西九州の交通拠点都市です。長崎県北部に位置し、福岡市や長崎市、佐賀市など九州主要都市とのアクセスが良く、観光・ビジネスの双方で利便性が高いのが特徴です。市街地が海と山に囲まれたコンパクトな構造のため、公共交通・自動車・徒歩のいずれでも移動がしやすい環境が整っています。 鉄道の中心は「JR佐世保駅」です。佐世保駅は西九州エリアの主要ターミナルで、「西九州新幹線（長崎新幹線）」の開業によって、長崎—武雄温泉—博多方面へのアクセスが大幅に向上しました。現在は武雄温泉駅で新幹線「かもめ」と特急「リレーかもめ」が接続しており、博多まで最短1時間40分ほどで到着できます。さらに、JR佐世保線を利用すれば早岐・有田・佐賀方面への移動もスムーズです。 観光の玄関口としては、「ハウステンボス駅」の存在も重要です。JR佐世保線の途中駅で、テーマパーク「ハウステンボス」へは駅から徒歩すぐ。特急列車「ハウステンボス」号が博多駅から直通運行しており、観光客にとって利便性の高いアクセスルートとなっています。また、駅周辺には宿泊施設やショッピングエリアも整備され、観光と交通の結節点として機能しています。 バス交通も非常に発達しており、「西肥バス（さいひバス）」が市内外を網羅しています。佐世保駅前バスセンターを拠点に、市街地・住宅地・ハウステンボス・佐世保港方面への路線が運行され、地域住民の主要な交通手段となっています。さらに、福岡（天神・博多）や長崎空港方面への高速バスも運行されており、観光客やビジネス利用者の移動を支えています。 自動車交通の利便性も高く、市内には「西九州自動車道（佐世保道路）」や「長崎自動車道」が整備されています。主要出入口である「佐世保大塔インターチェンジ（IC）」や「佐世保みなとインター」からは市街地や観光地へのアクセスが容易。福岡市までは車で約1時間30分、長崎市へは約2時間と、九州各地へ短時間で移動できます。さらに、国道35号・204号・205号など主要幹線道路が市内を通り、近隣の波佐見町・東彼杵町・西海市方面へもスムーズにアクセス可能です。 また、佐世保は港湾都市としての顔も持ち、「佐世保港」は物流・旅客・軍事の3機能を併せ持つ重要拠点です。フェリー航路では「黒島」「高島」など近隣離島への定期便が運航され、地域生活を支えています。さらに、観光客向けには「九十九島遊覧船」や「サンセットクルーズ」などの観光船が出航し、海上からの絶景観光を楽しむことができます。 航空アクセスも良好で、「長崎空港」と「福岡空港」の両方が利用圏内にあります。どちらも佐世保市街地から車で1時間半前後とアクセスしやすく、東京・大阪・名古屋など国内主要都市への出張・旅行に便利です。特に福岡空港からはLCCを含む多くの便が就航しており、コストを抑えた移動も可能です。 市内中心部の交通環境も整備が進んでおり、歩行者優先道路や自転車専用レーンが増加。観光客向けのレンタサイクルやカーシェアサービスも普及しています。市街地の道は比較的平坦で、徒歩圏内で観光スポットや飲食店を巡ることができるのも佐世保ならではの魅力です。 このように佐世保市は、鉄道・道路・港湾・バスが密接に連携する西九州の交通拠点都市です。新幹線開業による利便性向上に加え、観光地や港湾アクセスの充実により、佐世保はこれからも九州を代表する交通・観光のハブとして発展を続けていくでしょう。

観光情報

佐世保市は、雄大な自然と異国文化、海の魅力が融合した西海エリア屈指の観光都市です。長崎市と並ぶ人気観光地として、国内外から多くの旅行者が訪れます。テーマパークや絶景スポット、ご当地グルメなど見どころが豊富で、滞在型観光地としても高い評価を得ています。 佐世保観光の代表格といえば、「ハウステンボス」です。オランダの街並みを忠実に再現したヨーロッパ風テーマパークで、四季折々の花々やイルミネーション、アトラクション、ホテル、温泉、ミュージアムなどが充実しています。特に冬に開催される「光の王国」は世界最大級のイルミネーションイベントとして知られ、夜空を彩る光の演出が圧巻です。ハウステンボス駅から徒歩すぐというアクセスの良さも魅力で、ファミリーからカップル、外国人観光客まで幅広く人気を集めています。 自然景観を楽しみたい人には、「九十九島（くじゅうくしま）」が欠かせません。大小208の島々が織りなすリアス式海岸の美しい風景はまさに“西海の宝石”。国立公園にも指定されており、「展海峰」や「石岳展望台」から眺める九十九島のパノラマは息をのむほどの絶景です。特に夕暮れ時はオレンジ色の空に浮かぶ島影が幻想的で、写真愛好家にも人気です。遊覧船「パールクイーン」や「みらい」でのクルーズ体験では、海上から島々の間を進みながら大自然の迫力を体感できます。 また、港町ならではの魅力も満載です。「佐世保港」は観光船の発着地であり、港周辺にはショッピングモールやカフェ、ベイエリア公園が整備されています。米海軍や海上自衛隊の艦船が並ぶ光景は佐世保ならではの風景で、「海上自衛隊佐世保史料館（セイルタワー）」では軍港としての歴史や貴重な展示を見学することができます。夜になるとライトアップされた艦船と港の明かりがロマンチックな雰囲気を演出します。 グルメを楽しむなら、佐世保発祥のご当地バーガー「佐世保バーガー」は外せません。米軍文化を背景に誕生した手作りハンバーガーで、地元食材を使いオーダーメイドで仕上げるスタイルが特徴です。市内には数十店舗の認定店があり、それぞれに個性ある味を楽しめます。そのほか、レモンステーキ、九十九島かき、アジフライなど海の幸を活かした料理も充実しており、グルメ目的で訪れる観光客も少なくありません。 市街地の中心にある「佐世保四ヶ町商店街」は、日本一長いアーケード商店街として知られ、地元住民と観光客でにぎわいます。雑貨・カフェ・土産店が立ち並び、雨の日でも快適にショッピングが楽しめます。商店街から徒歩圏内には、老舗洋菓子店や港を望む展望カフェなども点在しており、ゆったりとした滞在が可能です。 文化やイベントも見逃せません。毎年開催される「させぼシーサイドフェスティバル」や「YOSAKOIさせぼ祭り」では、市民と観光客が一体となって街を盛り上げます。特にYOSAKOIさせぼ祭りは九州最大級の規模を誇り、全国から多くの踊り子チームが参加し、佐世保の街が熱気に包まれます。 このように佐世保市は、ハウステンボスの華やかさ、九十九島の自然美、港町の文化、そして地元グルメの魅力が一体となった観光都市です。1日では回りきれない多彩な魅力が詰まっており、訪れるたびに新しい発見と感動を与えてくれるまちとして、今後も注目を集め続けるでしょう。

歴史や変貌

佐世保市は、軍港として誕生し、造船と海の文化を基盤に発展してきた都市です。九十九島の穏やかな入り江に囲まれた天然の良港を活かし、明治以降は日本有数の海軍拠点として栄えました。その後、戦後復興・造船業の発展・観光都市化を経て、現在では国際的な港湾都市へと進化を遂げています。 佐世保の歴史は、江戸時代後期までさかのぼります。当時、この地域は小規模な漁村と農村が点在する静かな土地でしたが、天然の深い湾と穏やかな気候が評価され、明治政府によって海軍拠点の候補地として注目されました。1883年（明治16年）、正式に「旧日本海軍佐世保鎮守府」の設置が決定し、港の整備と市街地の造成が進められます。これが佐世保発展の大きな転機となりました。 1899年には「佐世保鎮守府」が開庁し、海軍工廠（造船所）や兵器工場が建設され、軍都としての機能が拡大。全国各地から軍関係者や技術者が集まり、人口が急増しました。佐世保は軍艦建造の中心地として発展し、「横須賀・呉・舞鶴・佐世保」の四大鎮守府の一つに数えられるほどの重要拠点となります。この時代に築かれたインフラや都市構造は、現代の市街地にも影響を残しています。 第二次世界大戦期には、軍港として多くの艦船が出入りし、戦局の要として機能しました。しかし1945年、終戦を迎えると同時に佐世保は連合国軍による接収を受け、「米海軍佐世保基地」として再出発します。戦後は一時的に混乱を極めましたが、基地経済とともに商業・建設業・造船業が復活し、街は徐々に活気を取り戻しました。 戦後の造船業は「佐世保重工業（SSK）」を中心に発展し、海上自衛隊の艦艇や商船の修理・建造を担う重要産業として成長します。佐世保港の修繕技術は世界的にも評価が高く、現在も国内外の船舶が入港する造船都市として知られています。 一方で、基地の存在は佐世保の文化や生活にも大きな影響を与えました。アメリカ人居住区や米軍向け飲食店が形成され、英語の看板やアメリカンフードが街中に広がります。ここから誕生したのがご当地グルメ「佐世保バーガー」であり、異文化が日常生活に溶け込んだ街として独自の国際的雰囲気を形成しました。 1970年代以降、佐世保は観光都市としての整備を進めます。特に1992年に開業した「ハウステンボス」は、かつての炭鉱跡地を再開発して誕生した大型リゾート施設で、市のイメージを大きく変えました。ヨーロッパ風の街並みと花々に彩られた景観は国内外から高い人気を集め、現在では九州を代表する観光拠点として定着しています。 さらに「九十九島」の自然景観は、戦後まもなくして「西海国立公園」に指定されました。環境保全と観光振興の両立が進められ、遊覧船や展望台などの観光インフラが整備されることで、佐世保は「自然と都市が調和するまち」として注目を浴びるようになります。 平成以降は、国際港湾としての機能強化や都市再開発が進みました。佐世保駅周辺では再開発による商業施設の拡充が進み、観光・ビジネスの双方で人の流れが活発化。2022年には「西九州新幹線（長崎新幹線）」の開業により、博多・長崎方面へのアクセスが向上し、さらなる地域経済の発展が期待されています。 このように佐世保市は、軍港として誕生し、戦後の復興とともに観光と国際文化のまちへと進化した都市です。海に開かれたまちとしての誇りと、異国文化が交わる独自の歴史が、現在の佐世保の豊かな個性を形づくっています。これからも佐世保は、平和と交流を象徴する港町として、九州の未来を担い続けるでしょう。